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終バス、風早橋の夜。

ここんとこ終バス続きだ。
終バスに乗れるのだから、まだいい方かもしれないが。

とは言え、連日仕事やら飲みやらで遅くなり、終バスが続くと、
さすがにそうとうしんどくなってくる。
ここまでくると、仕事の疲れなのか、通勤の疲れなのか、
精神的なものなのか、わからなくなる。
とにかく、ぶらさがったつり革から、つま先まで、
どっぷりと疲労感でコーティングされたようになる。

水曜日の終バスは、疲れのてっぺんだ。
バスの中もなんだか、どよんとした空気が流れる。
こんな時は、逃避する前に、自分を鼓舞してみる。

サラリーマンも15年やってれば、自分なりの方法で奮い立たせる術を心得ている。

まずは、ナンシー関の本を開く。
歯切れのいい毒舌で、世の中のモヤモヤを笑い飛ばしてしまおう。
ストレスをすっきりデトックス!

なんてわけには、簡単にいかないもの。
目がしょぼしょぼしてきて活字を読むコンディションではない。

じゃ、今度は景気付けに、コンドルズをYouTubeで見る。
近藤良平の型にはまらないダンスを見ていると、エネルギーが湧き出てきて、
もっと力をぬいて、自由にやればいいんだ、とちょっとだけ勇気がでてくる。
いいのかわるいのか、同じアホなら踊らなゃそんそん、そんな気分になる。
やばい、すでに現実逃避?

ならば、ヘッドホンでサンボマスターの曲を聞いてみる。
山口隆の歌声が、魂を揺さぶってくる。
そして、気づくと涙が出そうになってくるのは、なぜなんだ。
涙の終バスって、演歌みたいだが、今、求めているのは、感動の涙じゃない。
奮い立たせる、ロックの心。

一瞬、内田裕也がオーバーラップしてきたが、頭の外に追いやる。
まあ、あの人なら、決して弱音をはかないだろうが......。
そりゃ、すべてを「ロックンロール」と笑い飛ばせればいいさ。
しかし、裕也さん自身が笑い流されている。
ちょっとだけ、笑えて元気が出てきたけど。

それにしても、だんだん何を求めていたか、わからなくなってきた。

疲れを癒したいのか、
この毎日のルーティンから抜け出したいのか。
思考がディープダイブしはじめた頃、
「風早橋ー、風早橋ー」。
運転手さんの無機質で乾いた、かすれ声で一気に我にかえる。

乗客をかき分けて、風早橋に降り立つ。
いつもの風が今日も出迎えてくれる。
どこからともなく現れた低い風がふわっと体をつつみこんで、そしてまた何処に消えていく。
この風に出くわすと、小説「つむじ風食堂の夜 」に出てくる、つむじ風をいつも思いおこす。

そして、さっきまでの正体のわからない疲れやモヤモヤが
なぜか自然に消えてなくなっていることに気づく。
不思議な風だ。

遠くに聞こえていた、ヘッドホンの音が急に耳に飛び込んでくる。
「君は今逃げたいっていうけど それが本音なのかい?」

サンボマスター山口隆の叫びが心に響く。
今度は、涙ではなく、体が熱くなる。

木曜日からは、疲れの向こう側。
これなら明日もきっとがんばれそうだ。

ss20110613IMG_2750.jpg

終バスは、トンネルの方に走り去ってしまった。
さっきまで吹いていた風早橋のいつもの風は、なぜかもう吹いていない。

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